パーキンソン病
パーキンソン病とは一体なんでしょうか。
パーキンソン病は運動障害をもたらす神経変性疾患です。
手の震えや歩行困難などの症状があり、進行すると車椅子や寝たきりの生活となる場合もあります。主に中高年から高齢者に多く見られます。脳の一部、中脳と呼ばれる部分には、黒質というメラニンの多い層があります。正常な脳では、その黒質から線条体という組織に
ドーパミンという物質が送り出されることで興奮が抑制されます。パーキンソン病では、
その黒質線条体の神経細胞が壊れてドーパミンが不足することによって様々な運動症状が起こります。しかし、そもそもなぜドーパミン神経細胞が壊れてしまうのか、その原因は
まだわかっていません。その一方で、パーキンソン病の患者さんの脳内では
グルタチオンという抗酸化物質が減少している ことがわかっています。
パーキンソン病の治療は一般的にドーパミン投与が多く行われています。
しかしドーパミン投与による治療は、徐々に必要な投与量が増えていったり、
さらには途中で効果がなくなってしまうなどの問題点も指摘されています。そこで当院では、パーキンソン病の患者さんにグルタチオン点滴による治療を行なっています。

パーキンソン病とグルタチオン点滴
グルタチオンは3つのアミノ酸が結合している化合物で、ヒトの体内には広く分布しています。強力な抗酸化物質で、脳や身体を様々な有害物質から守る働きがあります。
パーキンソン病では、グルタチオン点滴を1回800mg(4A)から開始し、状態を見ながら
200mgずつ増やしていきます。
週2回程度の点滴を3ヶ月間行い、そこで状態が良好であれば、その後は
週1~2回で継続します。パーキンソン病とグルタチオンの関係は、今日まで広く研究が
進められてきました。イタリアのSassari大学において、パーキンソン病の人に
グルタチオンを点滴投与したところ症状が大きく改善したという報告がなされています。
アメリカでは医師のDavid Perlmutterが、パーキンソン病にはこの治療法が非常に
有効であるとし、現在では南フロリダ大学にて臨床研究が進められています。